<はじめに>
「誰もやりたがらない事を率先してやる」という言葉は私が青年会議所(JC)活動を通じて常に心掛けている理念です。現代社会では効率や時短が求められ変化が急速に進んでいますが、この言葉はその流れに逆行するものではありません。むしろ私たちが直面する地域の本質的な問題に対して正面から取り組む姿勢を示しています。
私たちが挑むべきは単なる効率化や即時の成果ではなく、地域社会や人々が抱える課題に対して進んで考え未来を築くためのきっかけを提供することです。その行動に共感、共鳴し、共創する仕組みをつくることこそが時代の変化に逆行するのではなく、むしろ時代を先導する力となります。
我々JAYCEEは
社会的・国家的・国際的な責任を自覚し
志を同じうする者 相集い 力を合わせ
青年としての英知と勇気と情熱をもって
明るい豊かな社会を築き上げよう
誰もやりたがらない事は誰もできない事でもあります。だからこそ私たちは「英知」と「勇気」と「情熱」をもって果敢に取り組み、新たな価値を地域に生み出していこう。この行動が私たちの地域に変革をもたらすと信じて。

公益社団法人小松青年会議所
第68代理事長
東本 大志
<地域の安心、安全、連携>
昨年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」は私たちに大きな恐怖と不安をもたらしました。石川県内のJCメンバーの中にも多くの被災者が出るほどの大規模な災害でした。しかしそのような困難な状況において、私たちJCは迅速に現地へ駆け付け、災害支援組織を立ち上げ効率的に運営を行いました。この経験を通じて私は改めてJCの存在意義を強く再認識しました。
私たち小松JCも足元が揺らぐ中、多くのメンバーが被災地へ赴き復興活動に取り組みました。石川県内の復興には短期的な対応だけでなく、長期的な視点に基づいた安心・安全なまちづくりが必要です。今年度も石川ブロック協議会と連携し、復興に向けた行動を継続していきます。
今回の災害は地域の絆と連携の重要性を再認識させる大きなきっかけとなりました。地域社会の中での連携や協力がいかにして危機に立ち向かい、乗り越える力となるかを実感しました。行政はもちろん、地域の他団体とも連携を強化し地域全体で災害への備えを万全にする体制を構築することが重要です。
<創発+から70周年へ>
私たちが目指すのは能動的な集団が連携し協力し合う社会の実現です。そのために「創発+アクティブコンソーシアム」をさらに発展させ、地域の課題解決に向けて積極的に取り組む多様な主体を巻き込みながら行動していきます。小松市、能美市、川北町の未来を考え続ける中でこの連携をさらに活性化し新しい価値を生み出していきます。
2025年度も「成長」「共創」「広報」の3つのアクションプランを軸に、私たち小松JCは70周年に向けて進化し続けます。
<会員の成長>
JCは地域を先導するリーダーを育成する教育の場という役割を担っています。現代は多様性が尊重される時代です。だからこそ青年会議所は厳しい規範に向き合い互いを理解し合いながら結束を深め、地域の未来をより明るく豊かなものにするために積極的に行動を取る必要があります。この過程を通じて私たちは新たな自分へと成長していくのです。
JCには多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まり共通の目標に向かって協力し合う場があります。その中で組織内の規律は非常に重要です。他の多くの組織にはない厳格な規則とマナーを学ぶことでメンバーはリーダーとしての資質を磨いていきます。組織の一員としての自覚を持ち、規律ある運営を実践することでリーダーシップやコミュニケーション能力、そして責任感をも身につけることができるのです。
またJCは0から1を創り出す組織であることを忘れてはなりません。私たちは何もないところから新しい価値を生み出し、地域社会が抱える課題に対して独自の解決策を見出していきます。全員がその力を持ち、それを個人、集団で地域社会のために活かしていく。これこそが私たちが追求すべき目標ではないでしょうか。
毎月行われる定例会はメンバー誰もが来てよかったと感じられる学びと成長の機会を提供する場です。この例会では気を引き締め、自分自身や仲間と真摯に向き合う熱い空間が求められます。定例会を通じて自分の成長や他のメンバーとの絆を深める場としてその価値を最大限に活用していきましょう。
私たちは小松JCを誇れる団体として、そして地域に必要とされる団体として成長させ続けるために厳しさの中にも楽しさを見出しながら努力を続けていきます。メンバー一人ひとりがリーダーとして成長を遂げ地域社会に貢献し未来を築いていくための力強い一歩を踏み出しましょう。
<まちづくり>
私たちが住む地域は昨年3月に北陸新幹線小松駅が開業し、小松駅から空港までの距離が5km圏内という高い利便性を持っています。国内外を結ぶ小松空港には航空自衛隊の基地が隣接し日本でも数少ない防衛性と利便性を兼ね備えた地域です。また、古くから資源採取の歴史を持ち、ものづくりのまちとして発展してきた背景があります。私たちのまちはその豊かな歴史と利便性さらには防衛性を併せ持つ住みやすいまちです。
しかし様々な要因により今後の人口減少は避けられない課題です。小松市、能美市、川北町の持続可能な発展を実現するためには、青少年や生産世代の人々に定住を促すだけでなく交流人口を増やすための施策が不可欠です。
私たちが目指すのは地域に新たな魅力を創発し続けることです。それは地域が魅力的であり続けるために「種を蒔く」活動を行うことです。JCは、地域社会に新しい種を蒔き、その種が実を結ぶための土壌を整える役割を果たします。
種を蒔くにはどの場所に、どの時期に、どのような種を蒔くべきかを慎重に考えなければなりません。そしてその種が実るためには一緒に水やりをする人々を増やし地域全体で育てる必要があります。最終的にはその種が実り、収穫した果実を地域の人々と分かち合うことで共感が生まれ、その共感が次世代へと引き継がれ地域の魅力としてさらに磨かれていきます。
そのために私たちは地域の人々、企業、行政と緊密に連携し共感を得られる政策や活動を立案し実行していきます。
こうした取り組みを通じて私たち小松JCは地域の未来を創造し続けます。地域と共に新たな価値を生み出し、共に歩み、共に成長することで誰もが「住みたい」「訪れたい」と思えるまちを築いていきましょう。私たちはそのための最初の種を決して腐らせることなく、しっかりと育て上げる覚悟を持って行動し続けます。
<ひとづくり>
地域の未来を担う子どもたちや若者は私たちにとって希望そのものです。彼らの持つ可能性や創造力は地域社会を明るく豊かにしていく原動力となります。だからこそ私たちは未来を創り上げるために、彼らに積極的にアプローチし成長の機会を提供することが非常に重要です。
現代社会では様々な情報が容易に手に入る一方で子供たちが未来に対して不安や迷いを抱くことが多くあります。しかし私たち大人が彼らの無限の可能性を信じ、それを最大限に引き出すためには、安心して挑戦できるサポートが不可欠です。彼らが夢を描き、それを現実にするための第一歩を踏み出せる環境づくりこそが地域の未来を明るく照らす鍵となるのです。
私たちは地域の子どもたちや若者が豊かな心と創造力を育むために教育や体験の場を提供し、その成長を全力で支援していきます。地域が未来に向かって輝き続けるためには彼らが将来に向けて前向きな心を持つことが不可欠です。
子どもたちの成長こそが地域の未来を築きます。健やかな心で学び活発に行動する彼らを支えることが私たちの「ひとづくり」の使命です。
<広報>
昨年からSNSなどを活用した情報発信を強化してきました。今年度はこれに加え「どこで」「誰と」広報を行うかをさらに意識して取り組みたいと考えています。「創発+アクティブコンソーシアム」を実現するためには、他団体や企業と協力し広報に重点を置いた事業を展開していくことが必要です。例えば小松市どんどん祭りや小松基地航空祭などの大規模イベントでは多くの来場者を集まり宣伝効果も非常に高いです。こうした場で他団体やJCの価値を共同で発信することで、これまでリーチできなかった層にもメッセージを届けることが可能です。
JCの価値を広く発信することは会員拡大にもつながります。素晴らしい事業や活動を行っていてもそれが効果的に発信されなければ非常にもったいないのです。そんな「もったいない」をなくすために2025年度は、広報活動に本気で取り組み長年の課題である広報と集客の弱点を克服します。
<会員拡大>
かつては青年会議所しかない時代でしたが今や青年会議所もある時代へと変化しています。多くの団体が存在する中で私たち小松JCを選んでもらうためには私たちの活動や価値を広く知ってもらうことが不可欠です。どれほど素晴らしい事業を展開していても、それが伝わらなければその価値は正当に評価されません。また会員数が少なければどんなに意義のある活動であっても、その影響力や価値は小さく見られてしまいます。
だからこそ私たちは行動を軸に積極的に動き、活動を広めていくことが重要です。現役メンバーだけでなく小松JCシニアクラブの諸先輩方とも協力し会員拡大に取り組むことで、私たちの活動がより一層力強く影響力を持つものとなります。また「この人がいるから入りたい」「この人と一緒に活動したい」と思ってもらえるような魅力的な人材を育成し増やしていくことが私たちの持続的な成長につながります。
多様な業種から仲間を迎え入れ共に地域を支え、未来を創り上げていくことが私たちには必要不可欠です。地域の課題に真摯に向き合い共に行動する仲間が増えれば、その存在が新たな価値を生み出し私たちの力となります。共に成長し地域に貢献できる仲間を一人でも多く迎え入れることで私たち小松JCは次のステージへと進んでいきます。
<南加賀協議会の連携>
2001年に小松、加賀、山中の3青年会議所によって南加賀3LOM協議会が設立され、2010年には南加賀協議会へと組織形態が変更されました。昨年は石川ブロック協議会野球大会で優勝を果たし私たちの絆はさらに深まりました。今後も南加賀地域の発展のために互いの個性を尊重し連携を一層進めていきます。小松JCと加賀JCの心をひとつにし、さらに強い絆を築き上げ、これからも地域のために尽力してまいります。
<韓国衿川JCとの友情>
私たちと衿川JCとの友情は1987年に始まり、それ以来長きにわたって絆を深めてきました。昨年は衿川JCの45周年という節目に多くの先輩方と現役メンバーが訪韓し共に祝う機会をいただきました。海を越え世界共通の志を共有するこの友情は今年も変わらず続いていきます。
彼らは私たちと会うたびに全力で歓迎してくれ再会を心から喜んでくれます。もし私たちがJCに所属していなければ彼らとの出会いもなかったでしょう。このご縁こそ私がJCに入会して本当に良かったと思える理由の一つです。
この熱い友情が未来永劫続いていくことを願い、今年も互いにその絆をさらに深め共に育んでいくことを誓います。
結びに
「おかげさまで」という言葉は私の座右の銘であり、これまでの人生を一言で表すならこの言葉に尽きます。正直なところ私はいつも周りに助けられてきました。10代後半から20代前半にかけて、あらゆる困難から逃げ続けた日々がありましたがこのままではいけないと奮い立ったのが20代半ばの頃です。それからはがむしゃらに努力を頑張りました。そして30歳で自社に入社した時、迎え入れてくれた従業員たちは常に私以上に会社のことを考え助言を惜しまず支えてくれています。彼らには今でも心から感謝しています。
小松JCに入会したのは33歳の時でした。勧誘してくださった当時の先輩方の情熱に心を打たれ、こんな志高い人たちと一緒に行動したいと強く感じ入会を決意しました。家庭の事情で1年間休会することになった時も当時の理事長やメンバーが「家族第一。休会中も気にせず、いつでも遊びにおいでよ。」と温かい言葉をかけてくれました。そのおかげで私は常にJCのことを心の片隅に置いていられました。
復帰後は覚悟を決めて与えられた役職を全力で引き受けてきました。そしてついに理事長の話をいただいた時「自分なんかが」と、正直思いましたが専務理事として1年間理事長の仕事を間近で見てきたことで自分だからこそできることがあると気付かされました。
メンバーに私が一番伝えたい事は、たとえ役職に不安があってもまずは1年間役を演じる気持ちでやってみてください。くじけそうな時は自分が演じている役のモデルを思い出ししっかりと演じ切ってみましょう。達成感や反省、成長はやりきった先にしか存在しません。走り抜いた1年後、その役がきっとあなた自身の一部になっているはずです。
「おかげさまで」応援してくれる従業員、支えてくれる家族、そして期待してくれる地域があるからこそ私はJC活動を続けられています。また、志を共にするメンバーや歴史を紡いできたシニアクラブメンバーがいてくれたからこそ今年、小松青年会議所の理事長を務めさせていただいています。この感謝の気持ちを胸に、共に明るく豊かな社会を築き上げていきましょう。

公益社団法人小松青年会議所
第68代理事長
東本 大志
組織
Organization

2025年理事メンバー
理事長:東本 大志
直 前 理 事 長:南井 侑貴
特任理事:山本 幸宗
副理事長:小坂 周平
副理事長:鈴木 進
専 務 理 事:本 晃大
財務・公益審査担当理事:山本 健志郎
事務局長:中村 俊文
会員拡大特別室長:今出 圭亮
総務委員長:梶谷 祥寛
地域創発委員長:中江 勇介
監事:道券 悠一
監事:小野森 貴大