はじめに
「新日本の再建は我々青年の仕事である」という信念のもと、1949年に日本青年会議所が発足し、そしてその後1958年に小松青年会議所は日本で176番目の青年会議所として誕生しました。昨年は創立65周年という節目を迎え、本年は次の70周年へ向けて新たなスタートを切る1年になります。65周年式典にて掲げたビジョン「行きたい 住みたい 多くの人たちにそう思ってもらえるまち そこに向かって人々が集まる そして動き出す」、このビジョンを達成するために、成長、広報、共創この3つの柱で創発+ ~アクティブコンソーシアム~を更に進化させていきます。我々が掲げたビジョンは、この地域の未来を描き、小松青年会議所を未来へと導いてくれる道筋です。道筋が示された今、私たちがすべきことは行動することです。常にこの地域のことを考え続け、トライアンドエラーを繰り返し、我々の理念である、明るい豊かな社会の実現に向け、行動し続けて参ります。

公益社団法人小松青年会議所
第66代理事長
小野森 貴大
地域の安心、安全
日本で発生しているマグニチュード6以上の地震は、世界の20%と言われております。さらに、近年では台風や豪雨による災害が各地で発生し、日本は自然災害大国と言われております。この地域においても、8月の豪雨により、梯川が氾濫し、大勢の住民が被災しました。私が生まれてからこのような災害は一度も無く、平然と生活をしていた中で、このような災害がふとして襲ってくることは恐怖でした。何かしなければ、何ができるのかと思っていた矢先、先輩方がボランティアに行くぞと声を掛け合い、ボランティアに参加しました。更に我々の同志でもあります石川ブロック協議会のメンバーもボランティアへ参加して頂き、被災地を駆け回りました。
青年会議所には3信条というものがあります。修練、奉仕、友情です。今回の災害時に改めてこの3信条を認識し、体現している先輩方を見て、大変多くのことを学ぶと同時に、防災に対する意識を高める必要があると感じました。災害が起きた時に、まず何をするのか、何ができるのかをメンバー全員が考える必要があります。そして、自然災害から家族や地域を守るために、人と人の繋がりを強化すると共に、「自助、共助、公助」をしっかりと理解し、地域と共有することが重要であります。
子供たちの未来
我々が住むこの地域は豊かな自然が多く存在し、住みやすさは全国的に見ても上位に位置付けられています。魅力あふれるまちではありますが、様々な社会の変化により子供たちの生活が変わりつつあります。集団活動や生活体験の経験が減少したこと、また子供の体力や生活リズム、他者との関わり方等でマイナス面での影響が伺えたとの調査データがあります。
自然での遊びというのは子供たちの感性を磨き、協調性を育み、丈夫な体を作ります。自然と遊ぶことによりコミュニケーション能力の向上や想像力を高めるなど地域の宝である子供たちに勉強だけではなく学びを提供することが必要です。この地域の自然と一緒に遊び尽くそう。
地域を愛する子供たち
日本には世界に誇るべき伝統文化が多数存在しています。小松市、能美市、川北町も同様に、素晴らしい伝統文化、行事が数多くあります。しかし、新型コロナウイルスの影響により、制限を設けての活動、場合によっては中止をせざるを得ない状況が続いています。特に、我々が子供だったことの楽しかった行事が失われ、存続の危機が続いております。
まちの伝統文化は、皆小さい頃から見て、大きくなるに連れて見ている側から行う側へ変わり、大人になれば教える側へ、というように歴史は年々続いていきます。このように、まちや仲間と伝統文化を継承していくことは、子供たちの地域への愛と誇りを育み、忘れ難い体験となることから、将来、定住やUターンのきっかけになります。私たちは次代を担う子供たちに、このまちの伝統文化という価値を、魅力を伝えていかなくてはなりません。
地域との共創
地域にはさまざまな課題が存在しています。その課題を我々だけで解決することは難しいです。なぜなら社会変化のスピードが速く、人々の価値観やライフスタイルが多様化し、未来が見通しづらくなっているからです。この多様化している社会に対し、我々はこの地域を活性化させるために、関係諸団体・自治体と連携し、地域への視野を広げ、地域の課題と向き合います。共に地域を創発し、今までにない発想が生まれ、新たな魅力を生み出すことが出来ます。
地域とのまちづくり
小松青年会議所は、創立60周年の時、10年ビジョンとして「創発+ ~アクティブコンソーシアム~」を掲げました。昨年65周年時の3つの柱の1つである共創を軸とした創発こまつ事業を実施します。小松には小松空港があり、2024年には北陸新幹線金沢-敦賀開業といった、この地域の更なる発展のチャンスが目の前まできております。
我々は地域の先導者として、このチャンスを活かす、新たなまちづくりを実施して参ります。そのために、過去の事業をしっかりと検証し、我々だからこそ出来ることを突き詰めます。そして、市民だけでなく、多くの方にこのまちに住みたい、行きたい、そう思ってもらえる事業を実施して参ります。
地域のために会員の成長
青年会議所へ入会する方々の目的は、「友達作り」、「ビジネスにつなげる」といった自分を中心とした理由により入会する方が多いのではないでしょうか。それ自体は全然悪いことではなくむしろ、当然だと思います。ところが青年会議所活動をしていくと、「自分」を中心としていたことが、「小松青年会議所が」、「この地域が」といった、自分以外を中心として言葉を発するようになります。このように、自分の意識を変革し、この地域を想うメンバーを増やすことが、「明るい豊かな社会の実現」に繋がると信じています。
意識を変革するには、まずはメンバーが青年会議所活動を楽しむことが必要です。そして、楽しさの中に学びが多くあることを意識することが重要です。これが無ければ、持続可能な組織、地域の発展は望めません。我々の成長は、市民の成長、そしてこの地域の成長に繋がります。メンバー全員が青年会議所活動を楽しみ、そして学べる機会となる場を提供し、更なる資質の向上に取り組んで参ります。
規律ある組織運営
経営の基本は人であり、人を活かすのは和であると考えております。和というのは、仲間意識が高い、協調性が高い、といった意味ではありません。青年会議所も同様に、組織運営の基本は人であります。職種、これまでの生き方、考え方が異なる会員が集まる当会において、いろいろな考えをぶつけ合い、互いを認め、この地域を明るく豊かにするために、力を合わせることが必要です。一人ひとりが、人の心を理解し、人から学び、人に感謝することを、常日頃から自覚することが、結果として最大限の組織運営に繋がると信じています。
公益社団法人として、総会や理事会運営を始めとする適切な組織運営を支えることは非常に重要であります。そして、経営する上でも重要であるコンプライアンスの遵守、事業の費用対効果、公益性等について確認を確実に行い、健全な運営を実施して参ります。
地域にとって身近な存在
小松青年会議所の理念は、明るい豊かな社会の実現という長期ビジョンを達成するために、日々議案を構築し、様々な事業を実施しております。では、我々のこのような活動をしている小松青年会議所という存在について、知名度としてはどうでしょうか。私は2018年に小松に戻り、同年に入会しましたが、正直聞いたことがありませんでした。ということは、私のように小松青年会議所の存在を知らない方はまだまだいるということです。
小松青年会議所の認知度を上げ、我々の行っている事業を発信し続けることは非常に重要なことです。我々の運動を展開していく中で、より高い相乗効果を生み出すためには、多様な人々に情報を届けることが必須であるからです。現状の広報手段だけではなく時流に応じた新たな広報手段や発信方法を積極的に取り入れ、検証し未来につなげていくことは、これからの情報発信において非常に重要です。我々の存在を知る、ということはこのまちを知ってもらうことと同じであります。この新たな取り組みをメンバー全員で考え、どんどん挑戦していきます。小松青年会議所を、そしてこのまちを、魅力を、県内外、世界へ発信して参ります。
地域のための南加賀協議会
現在、地域の課題解決の為に、1つの団体で問題を解決するのではなく、複数の団体が連携をし、地域の課題を解決することが重要視されております。それに先駆けて2001年に南加賀の広域連携の為、小松・加賀・山中の 青年会議所3団体が南加賀3LOM協議会を設立し、2010年に南加賀協議会へと組織の形は変わりましたが、今も活動しております。小松青年会議所と加賀青年会議所は、日々の接点はあまりありませんが、両LOMメンバーが率先して互いに議論し合い、この地域について学び、そして絆を深めることで、成長して参ります。我々の成長は、南加賀の発展、そしてそれぞれの地域への発展に寄与するものと信じております。今後もより一層尽力して参ります。
JCI衿川(クムチョン)との友情
JCI衿川との友情は、1987年の姉妹締結より始まり、訪韓訪日を繰り返し、国際交流事業を通じて長きに渡り培われてきました。世界情勢の変化により国家間の関係は変化しておりますが、我々青年会議所の3信条にあります友情は決して変わることなく、また世界共通の志を持つ団体同士の友情は変化することはありません。2023年度も民間外交の一翼として、これまでと変わらない友情を育んでいきます。
結びに
私は高校時代、剣道部に所属しており、監督から耳にタコができるほど言われたことがあります。それは、「当たり前を当たり前にやりきる。」「試合とは鏡である。常日頃の生活、練習が全て試合に映し出される」ということです。これは、社会人になってからも頭に入っております。
「当たり前を当たり前にやりきる」、これは簡単に見えて非常に難しいです。当たり前とは何か、それは自分の中にしかありません。当たり前とは、今までの環境や生活により、形成されていくものだと考えます。挨拶をする、感謝をする、ルールを守る、等これらは当たり前だと思いますが、当たり前ではない人もいます。ではその時、どう行動するか。自分を挨拶や感謝をすることが出来るようにアップデートできるか、できないかで人間形成は大きく変わってきます。是非アンテナをたくさん張り、アップデートできる人間になりましょう。
「試合とは鏡である。」青年会議所で例えると、事業です。事業実施の際、しっかり議論できていたか、仲間と作り上げられたか、効果があったか、如実に結果として出て来ます。失敗しても良いのが青年会議所ですが、事業実施までの過程はどうであったか、同じ失敗をしないように検証しているか、次年度のメンバーに伝えられているか、ここが非常に重要なポイントになります。これらのことをしっかり実行するためにPDCAサイクルを回し、トライアンドエラーを繰り返し、挑戦し、成長していきましょう。
2023年度は、メンバー全員がこの地域の為に、成長し、共創し、広報をし続け、創発+アクティブコンソーシアムを実施していこう。そして何より、青年会議所の運動を、この地域を我々が存分に楽しもう。

公益社団法人小松青年会議所
第66代理事長
小野森 貴大
組織
Organization

2023年理事メンバー
理事長:小野森 貴大
直前理事長:道券 悠一
副理事長:村元 淑徳
副理事長:南井 侑貴
専務理事:山本 幸宗
財務・公益審査担当理事:東本 大志
事務局長:鈴木 進
会員拡大特別室長:中村 俊文
地域創発委員長:宮内 淳
出向特任理事:山本 健志郎
監事:深田 哲平
監事:宮竹 皓一